みなさんこんにちは、徳ちゃん@TNNです。
豊泉家グループとのパートナーシップ企画『認知症啓発シリーズ』3回目をお届けいたします。
「豊泉家グループ × TNN豊中報道。2 powered by Superjpm 認知症啓発プロジェクト」は、豊中発祥の企業である豊泉家グループの「さまざまな形で豊中市に恩返しをしていきたい」という想いから実現したプロジェクトです。
TNNでは計12回の記事配信を予定しています。(これまでの記事はこちら)
前回までのお話をざっくりまとめると
・認知症は本人と医療機関だけで完結しない
・本人とその家族を地域で支える社会「認知症共生社会」の実現が理想
・まずは認知症に関する情報や体験を共有しやすい空気を醸成する
・認知症への理解が深まれば、その先に「認知症共生社会」の実現がある
・豊中市でも認知症を有する人は増え続けており、2022年のデータで約1.2万人いる
・豊中市では「共生」と「予防」の2つの側面から認知症サポートを展開している
・「共生」の側面ではオレンジカフェの立ち上げ支援や認知症サポーターの養成など
・「予防」の側面では早期発見から治療を促すため「おたすけマップ」などの啓発冊子を作成・WEBで公開している
っていうお話でしたね。
今回は2回目の記事で勉強した「オレンジカフェ※」に注目し、豊中市内で開催されている実際の現場に行って、お話を聞いてみることにしました。
オレンジカフェとは?
誰でも参加でき、おしゃべりやドリンクを楽しみながら交流ができるコミュニティカフェ。豊中市内に22ヶ所設置されており、認知症について「知る」「学ぶ」「考える」ことができる。
ということでやってきたのは、新千里南町の「南町近隣センター」にある
地図ではこちら、二ノ切池公園の近くですよ。
こちらで毎月第2水曜日に開催されている「オレンジ・カフェ 南丘」にお邪魔してみました。
お話を伺う前に、とりあえず中に入ってみましょうか。
「認知症を知る・学ぶ・考える」っていう堅い雰囲気じゃなくて、とっても賑やかな感じ。
「オレンジ・カフェ 南丘」代表の瀧澤さんと、千里地域包括支援センターの加藤さんにお話を伺ってみましたよ。※右が瀧澤さん/左が加藤さん
瀧澤さん「オレンジカフェと一言で言ってもいろんなタイプがあるんですが、こちらは誰でもご参加いただける交流の場になっております」
加藤さん「民生委員、認知症を有する人のご家族、地域包括支援センターなど、カフェを立ち上げる人によっていろんな形式のオレンジカフェがあるんですよ」
ーこちらの「オレンジカフェ」では、どうしてこのようなスタイルのカフェを運営しているんですか?
瀧澤さん「この地域では一人暮らしをしている高齢者が多いので、見守りの目が届きにくい状況が課題だったんです」
瀧澤さん「そこで我々のオレンジカフェは、そもそも人が集まりやすい場所で開催をして」※会場のすぐとなりにある「豊中新千里郵便局」
瀧澤さん「お買い物をしている人にもお声掛けして、ちょっと休憩してもらったり、会話に加わってもらったりしているんですよ」※会場の向かい側で開催されている市場
ーなるほど、リラックスして楽しめるカフェでありながら、地域の高齢者を見守るコミュニティになっているんですね
加藤さん「それと合わせて、こちらのオレンジカフェには専門職のスタッフが常駐しております」※入りやすいように入口はいつも解放されているんだそう
加藤さん「保健師、看護師だけでなく介護福祉士に認知症ケア専門士など、気軽に専門家にアクセスできる場所になっていまして、ご家族のご相談にも対応しております」※オレンジカフェに参加されていた千里地域包括支援センターの保健師さんと看護師さん
加藤さん「また専門家が普段から接していることで、ちょっとした変化にも気付けるようになり、早期に認知症を発見できる仕組みにもなっているんですよ」
瀧澤さん「カフェには民生委員さんや地域包括支援センターのスタッフさん、豊中老人介護家族会、認知症サポーターなどが集まるので、情報交換も盛んに行われているんです」※認知症サポーター「オレンジャー」のおふたり
ーそっかー、地域の高齢者だけじゃなくて「見守る人・介護をする人」にとってもオレンジカフェがコミュニティになって「地域の高齢者を支える原動力」として機能してるってことなんですね※ボランティアスタッフとして参加されていた折り紙の先生(右)
瀧澤さん、加藤さん、オレンジカフェに参加されていたみなさん、ありがとうございました!
と、ここまで新千里南町で開催されている「オレンジ・カフェ 南丘」についてレポートしたのですが、今回訪れた回では「介護をする人(ご家族)」が(たまたま)いらっしゃらなかったんですよね。
やっぱり認知症を有する人を一番近くで見守っている「介護をする人」のお話を聞いてみたい!と思い、豊泉家に相談したところ「在宅で介護をされているご家族が集まってお話をする会を定期的に開催していますよ」とのことで、こちらにもお邪魔してみることにしました。
やってきたのは、上新田にある「アシステッドリビングホーム 豊泉家 桃山台」です。
地図ではこちら、コメダ珈琲の近くです。
先程の「オレンジカフェ」とは打って変わって、ちょっと引き締まった雰囲気。
「グリーンオアシスの会」と銘打たれたご家族の会は、阿久根理事長による「認知症ケア」のお話からスタート。※阿久根理事長は認知症ケアのエキスパート(詳しくは第一回目の記事で)
認知症を有する人がどのように考え行動しているのか、それを見守る人(介護者)の考え方など、これまでの知見だけでなくご自身の経験も交えて、30分程でわかりやすく説明されていました。
それが終了すると、ご家族のみなさんによる意見交換会がスタート。
机を口の字型にして談笑しながら、普段の介護について困ったこと、悲しかったこと、面白かったことなどをシェアしていきます。
リアルなお話ばかりで「え、ホンマに(汗)??」というエピソードや「それって逆に面白い(笑)」というエピソードが飛び出すんですけど
阿久根理事長を含め、デイサービスを担当する職員さんも「ふんふん、それは困りますよね?」「思わず笑っちゃいますよね」と、どんどん話を引き出して
介護現場でご家族が抱える想いを「解放する」お手伝いをされていたのが印象的でした。
会の終了後、参加されていた常吉さん(お母さんが認知症)と、山本さん(義父さんが認知症)に、直接お話を伺うことができましたよ。※左が常吉さん/右が山本さん(おふたりともTNNをチェックしてくださっている読者さんでした)
常吉さん「やっぱり最初は誰にも言えない、近所の方にも相談できないっていう状態でした」
ーでもそれだと、なかなかしんどいですよね?
常吉さん「認知症の家族がいる友だちに会ったときに、ぐわーって(笑)もうお互いたまっていたものを言い合ってスッキリするようになりました」
山本さん「私も認知症の家族がいる友だちと会ったときに、いろいろ話をしていますね」
ーなかなか近所では想いを吐露しにくい、でも(介護をしている)同じ境遇の人と会ったら、自然とお話ができる(出ちゃう)もんなんですね
山本さん「やっぱり隠したいと言うか、家族なので認めたくないという気持ちがあって・・・今振り返るとそれが介護の邪魔になっていたと思うんです」
ーとなると、今回のように、想いを言い合える機会って大切になりますよね
常吉さん「そうですね、次は私と同じようなケースの人が、どのように介護されているか話を聴いてみたいです」
山本さん「専門家と意見交換できるので介護についての心配も少し減りますし、私だけじゃないんだって思えたら気持ちも楽になるので」
常吉さん、山本さん、貴重なお話ありがとうございました!
ちょっと予想はしていましたが、介護に関する問題は「家庭内だけで抱えがち」になってしまうものなんだと気付かされました。
そう言えば、シリーズvol.1で配信した記事で、阿久根理事長が「まずは認知症に関する情報や体験を共有しやすい空気を醸成する」っておっしゃっていましたけど
ホンマに「まずはそこから」なんやなぁーってコトがよく理解できる機会になりました。
豊泉家では定期的に「認知症セミナー」が開催されています、気になる人はチェックしてみてください(詳しくはこちらで)。
これにて「認知症啓発シリーズvol.3」は終了です。
次回はそんな「共有しやすい空気」を作り出せるきっかけになるかもしれない?ご近所の応援者「認知症サポーター」について話題にしたいと思います。※認知症サポーター養成講座を受講してきましたよ
お楽しみに。